アオトのコゴト

ここは文字に臆病になった僕が通う診療所

改めて「わたしを離さないで」8話

改めても何も、前回はかすりもしない内容だったので。

 

8話ではとうとう美和が最後の提供を迎えた。命の警鐘が鳴るなか、恭子とトモにプレゼントを渡そうとしたり、恵美子先生の居所を記したメモを渡したり、恭子に「一緒に寝よ」って言ったり宝箱一緒に見て過去を懐かしんだり。もう手の平クルーでベタベタな美和。

ふん、ぼくはだまされないぞ。今まで美和が恭子とトモにしてきたことを考えると、まるで共感できない。というか、恭子はマジで天使すぎる。

 

しかし、最後にストレッチャーの上で美和が「離さないで」と悲痛な叫び声をあげたとき、ぼくの心はとうとう揺らぐ。あの一言に「ごめん」と「ありがとう」と「助けて」と、やっぱり「ごめん」が全部詰まっていた。そこで涙腺がちょっとね。うるっときたね。うん、水川あさみさん素晴らしい演技をありがとう。

 

と思ったら。まだセリフがあり、

「わたしを…離さないで」と。美和の心の叫びが病院の廊下に響く。

 

ここでストップ。あの、月9のときもそうなんだが、放送規定に「主題をセリフのどこかで回収せよ」的な号令がかかっているのか。なぜタイトルまるまる言わなきゃいかんのか。そこでさあっと涙は眼の奥に引っ込んでいきました。ちょっと残念。

 

で、美和が本当に天使になってしまい、いよいよ恭子とトモの時間が動き始める。第9話。いよいよ大詰め。

 

 

8話でさすがの脚本と思ったのは、旧陽光(現:ホーム?)に3人が訪れたとき、3人は恭子のルーツから生まれたもうひとりの幼い恭子(擬・恭子)に出会うシーン。ここは、なるほどなあと思った。原作を読んでいても全然そこまで思考を延長できていなかった自分にとってアハ体験。

そうだよな、1パターンのDNAからできるクローンが1体なんてことは限らないのだ。綾波レイみたいに大量生産されていても不思議じゃない。毎回観るたびに思うけれど、本当に原作をよく読み込まれてできたドラマだと思う。

 

ただ、残念だったのは……。船のシーン、やっぱりなかったですね。もうあれは文章のなかで完成されすぎているのでしょう。映像化は無理なんですね。そこだけすこし、さみしかったです。