素直に祝・本谷さん
第154回、芥川・直木賞のニコニコ生中継で、「ペリーさんが広末涼子に見える」という秀逸なコメに思わず苦笑した。
いや、失礼だろ。というのが、失礼だろ。
というのは置いといて。
本谷有希子さん受賞しましたね。おめでとうございます。
僕はきれいな女性の書いた小説は読まないようにしている。顔の情報からくる好印象が、作品、文体によって汚染されないようにバリアを張るようにしている。だから川上未映子さんの作品に20代前半はATフィールド全開だったわけだ。
つまり、今は違う。とソッコーで矛盾を自白してしまう。
僕が最初に「生きてるだけで、愛。」で本谷さんを知ったときは、ビジュアルは存じ上げておりませんでした。
「生きてるだけで、愛。」の冒頭、
〜女子高生の頃、なんとなく学校生活がかったるいという理由で体中に生えてるあらゆる毛を剃ってみたことがある。髪の毛、眉毛、脇毛、陰毛。まつげと鼻毛はさすがに無理だった。〜
という、まあ刺々しく青春むき出しの一文がすごく印象的で、というか最後の「まつげと鼻毛はさすがに」というところが好きで、それ以来ちょこちょこ追いかけてた。
後日、どんな人だろって気になってググったら、まあお美しいこと。
ん? ちゃうな、かわいい系か。まあ、いいでしょう。
そのとき、「あとからキレイはオッケー」ってルールを脳内に追記した。
現在は「なんでもあり」に改定済み。
本谷有希子は、女性のありのままを撮るカメラと、女性の本音を根こそぎひろうボイスレコーダーを常に持ち歩いている。そういうイメージ。さらに、その自分で集めた情報を斜め上から見れるのがすげー。
こんなことを書いてたら、以前読んだ本谷作品「藁の夫」が急に読みたくなって、本棚を見たら、ない。というか、本谷作品2冊しかない。 「生きてるだけで、愛。」と、「嵐のピクニック」だけ。しまった、あとは「群像」に掲載されてたのを読んだんだった。「群像」全部実家だ、がーん。
というわけで、受賞作「異類婚姻譚」を読んだことのない僕に語る資格がなくなってしまった。
しゃあない。改めて、おめでとうございます。