アオトのコゴト

ここは文字に臆病になった僕が通う診療所

「わたしを離さないで」って言われてもさ…。

やりたいなあ、気になるなあ、と思っていても後回しになることってままある。

 

僕が「わたしを離さないで」を知ったのは、本屋で勤めているとき。カセットテープが表紙一面にデザインされた文庫本の装丁がすごく印象的で「いつか読みたいな」と思っていた。そして、昨年やっと手にとった。その間5年の月日が経っていたわけである。きっかけは…なんとなく。まあ、そんなもんでしょ。そこに大きな理由はなくて、あるとしたら駅前にある小さな本屋に「わたしを離さないで」があったからかな。新しく住まうこの環境に、過去とのつながりをなんとなく感じて買った。

 

まあまあしっかりした理由やないかい、アオトさんよ。

 

そして読了後、晴れてというか、やっとカズオ・イシグロのとりこになった僕なのだけど。なんとその「わたしを離さないで」が日本でドラマ化されるそうで。しかも明日から笑。

 

それを聞いた瞬間、僕はTSUTAYAへ走った。なぜって、そりゃ決まってるわな。2010年に公開された「わたしを離さないで」をまだ観てないからよ。このままでは、日本版「わたしを〜」がもし面白くなかったり、おそまつな出来だったときに全力で悲しめない。「映画は良かったのによ〜、なんでだよ〜」ってポテチかじって缶ビールすすりながら言えない。これは一大事だ。

なんとも悪質な理由で映画を観ました。

 

その感想…なんだけど。

 

幼少期のルース役の子めっちゃかわいいわ。ていうかセクシー、目が。僕の万華鏡ロリン眼が完全に開眼しましたわ。

エラ・パーネルちゃん。ああ、マレフィセントにも出てるんですね。今後に期待です。以上。

 

ああ、映画の感想。忘れてた。

 

一言、いや二言だけ。小説で僕が一番好きなシーンが描かれていないことにひどくがっかりした。

 

ひとつは、大人になった主人公含め三人が座礁した船を見に行くシーン。この船は「湿地に座礁していて、どうしてそんなところまで乗り上げてきたのかわからない」という、最大のお気に入りシーン。その「なんだかよくわからないけど、そこにある」感じがとても良いし、草木を分けて歩きたどり着いたさきにあるのが「船」という異物なのがめちゃくちゃ美しいと思う。

僕がカズオ・イシグロさんにぐっと惹きつけられてた表現の部分なんだけど、

はい、そこカットね。

 

ほいで次。主人公キャシーがクッションを抱きながら表題となる「わたしを離さないで」のメロディーに合わせて身体を揺らす姿をマダムに目撃されるシーン。そして、マダムは彼女をただ見つめ、涙を流す。

これは、主人公らが「ヘールシャム」へ通っている学生時代のシーンなのだけど、主人公の心に疑問を抱かせる重要な部分。ちなみに、ラストにマダムと再開するシーンでもこのときの記憶がストーリーにさらに追い討ちを、とどめを刺す。そこを読んだとき「もうやめて…やめたげて」と思った。「生」とはなんと残酷なのかと頭を打ち、またカズオ氏の表現はもちろん、翻訳者さんのすばらしい訳に感動するばかりだった。

 

はい、そこカットね。

 

てか、「ポシブル」の訳が「もしか」って、おいおい。

キーラ・ナイトレイ手術台に放置のとこで、彼らが世間からどういう目で見られてるかわかったけど、遅いし。てか説明少なすぎるし。104分ってあと15分なんとかならんかったんかい。

 

エラ・パーネルかわいい。かわいいから、落ち着け俺。

 

なので、明日からのドラマ、大いに期待しております。楽しみであります。

お願いだから、幼少期の話を長めで、長めでおなしゃす。